教室日記vol.8
前回の続きです。
オーディションの日がやってきました。
こういう時ってなんだか同じ楽器を持っている人が自分より上手そうに見えるんですよね。(実際そうなんですが)
でも海外の人達はこっち見てウインクしたり、「ハーイ」って声を掛けて来たり「同じ楽器だね。仲間だね。」みたいな雰囲気なんですよ。
日本の受験生みたいな他人は敵のようなトゲトゲ感が無いので少し気が楽になった感じです。
お題はバッハの無伴奏組曲のプレリュードのどれかと20世紀の作品。私はバッハは6番とブリテンのソナタ。
結果、合格(パチパチ)いや~本当にハラハラでしたよ。
なんとか最後の方に潜り込めました。これで2週間滞在出来てレッスン受けれるぞと。
それからホテルを引き払い、学校が紹介する不動産屋さんに何人かで借りる部屋を探しに行きました。
勿論ワンルームマンションなんてイタリアには当時ありません。
結局、同級生ともう一人の女性の3人で2LDKをルームシェアすることに。
女性陣は個室ベッドルーム、男一人は番犬扱いのリビングのソファーベッド。
仕方ありませんね。
私のチェロの先生はフランス人のアラン・ムニエさん。カッコよくダンディーな方で勿論音楽家としても素晴らしいチェリスト。
日本人4人(私も入れて)と6人の海外(イタリア人も)の受講生のクラスになり、みんなと時間割り等話し合いをしながら和気あいあいな雰囲気でした。
そんなこんなで仲のよくなった海外からの友達も出来て、簡単な英語でコミュニケーションを取れました。
その中の一人が、イタリア人のアウレリオです。
彼にはピアノで受講しているお姉さんがいました。このお姉さん凄くキレイで艶やかなラテン系美人なんですよ。映画の「マレーナ」みたいな。
よくお昼ご飯を3人で食べに行き、僕とアウレリオは簡単な英語ですがお姉さんはイタリア語だけ。
でも屈託ないそして素敵な笑顔でイタリア語を話しかけるんです。
「あ~、イタリア語勉強してくれば!!」と。
1週間くらいしたある日、アウレリオが「来週、地元の演奏会に急遽出ることになった。トモキ、僕は室内楽のクラスを受ける事になってたんだけど君に変わってもらえないかな。」と言って来たんですよ。
僕は軽いノリで「ホワイノット。」と言って、そのまま学校の事務局に連れて行かれました。
そうしたらお金は別枠ですが、専科のクラスを受講している人は20%の費用でOKらしい。
「ふ~ん、安いじゃん。」と思いサインすると期間が4weeksって書いてあるのに気づきました。
心の中で「えーっ?モアザンフォーウィークス!?」
と、隣にいたアウレリオがどこかに行っちゃいました。
思わず「アウレリオ~、アウレリオ~ッ」
次回へ続く