熊本日記 2024-5
12/4(水曜)この日は水俣市にお邪魔して朝と午後にミニコンサート2回、ファミリーコンサートを1回の計3回の演奏を行います。
最初はさわらぴこども園。
ここでは昨年も子供達に聴いてもらいました。沢山の子供達が覚えていてくれて可愛い声で「チェロのおじさんだ!」と入場する前から呼んでくれます。
白鳥やG線上のアリアといった曲もお利口にして聴いてます。
最後にアンコールでフォーレのレクイエムより「pie jusu」を弾いていたら窓から見える遠くの景色が美しく、子供達の目は綺麗でこちらが癒されてしまい少し目が潤んでしまいました。
(都会の中で汚れたおじさんの心に何かが入り込みました。)
お昼に隣の津奈木町で東さんと昼食。
肥後ジャーナルという熊本の地域情報サイトで前からチェックしたお店で海鮮丼を頂きました。
お魚たっぷりで勿論鮮度抜群なのにリーズナブルです。
お腹を満たして、次の「希望・未来・水俣」という胎児性水俣病患者さんが集う施設に向かいます。
胎児性水俣病とは産まれる前お母さんのお腹の中に居た頃、母親が食べたメチル性水銀が含まれた魚から毒性が赤ちゃんに蓄積されて産まれながらに脳や手足に麻痺や障害があるという過酷な運命を背負ってきた方々です。
昨年こども園の牧野園長に「出来れば水俣病患者さん、ご親族、支援者の皆さんに聴いて頂きたい。」とお話したところいろんな方々のご尽力で実現しました。
本当に感謝です。
ここでは白鳥、トロイメライの後に皆さんが聴いて歌って育った日本歌曲メドレーを演奏します。
ふるさとの水俣の海が美しかった頃の景色に思いを馳せて聴いてもらえたら、と
。(勿論今はキレイな海を取り戻していて自然の豊かさ、懐深さに感嘆します)
そして、皆さんさぞや辛く、悲しい時間が長くのしかかっていたのだろうと容易に想像出来ます。〈その分これからは心穏やかで安寧に過ごされますように。〉と思っていたのですが要らぬお節介でした。
皆さん明るく朗らかに自分のやりたい事に毎日挑戦されています!
見習わないと。
終演後患者さん、支援者の方々との交流会。
最初30分の予定でしたが小一時間ほど楽しくお話しました。(マイクを切る環境省の役人なんて言語道断だ!)
すると私の目の前に座っていた方がジョニー・デップ主演映画「MINAMATA」の中に出てくる手が思うように動かせないけどジョニー・デップ演じる写真家ユージン・スミス(水俣病を世界に広め衝撃を与えた人物)と交流しカメラを貸してもらい、そのカメラでいろんな物や風景を撮ってネガをスミス氏に渡し暗室に連れて行ってもらい写真を作る、といった素敵な物語の人物のモデルだったのです。
私は前々から※1枚の写真を見て※水俣の皆さんの所へ行けたらと考えていましたがその映画を見て「行かねば。」と思ったのでモデルになった方にユージンさんとの思い出を聞く事が出来て感動なんて薄い言葉でなく深い思いが心に染み入りました。※(そしてある母子の入浴シーンの写真〈入浴する智子と母〉を是非ご覧下さい!ユージン・スミス氏の魂の1枚)※
皆さんに「また来て下さい。今度はもっと沢山の人に聴いてもらえますように。」と挨拶されこちらが恐縮してしまいます。
最後はルーテル水俣教会で1時間半程のプログラム。
小さな教会ですが響きも良く大人から子供まで(80+?歳の方もいらっしゃいました)、そして朝のこども園の保護者の方やお昼にいらっしゃった支援者の方もお見えになり和やかな演奏会でした。
今日は本当に長い一日でしたが、それ以上に人と人との携わり、助け合う事、言葉に出来ない得るものがあり人生の中でも大切な時間でした。