またまた熊本日記2

11/3コンサートの日です。
今回のプログラムは前半と後半の1曲目がシューマンの作品、最後にブラームスのソナタ第二番というドイツロマン派の王道中の王道です。

シューマンは今回初めて人前で演奏するので、かなり慎重に準備してきたつもりです。
独特のなんとも言えない切なさ、かと思うと明るく朗らかな部分や激しくほとばしる感情の起伏があり、大好きなんですがこんなに変化の多い曲はそうありません。

幻想小曲集はクラリネット、アダージョとアレグロはホルンでも演奏されます。
それだけ他の楽器にも魅了されるメロディで、聴いていても心の中に染み入ります。
そしてブラームスはソナタ第一番と反して、華々しく川の水が流れるよう、それでいて美しい和音、途中迷走するような疾走感等理知的な構成です。

素晴らしい曲を演奏するのは大変光栄であると共に自分の技量や精神的、頭脳的な点が試されているみたいで悩んでしまいますが、最後はロマン派のロマン派たる由縁に帰り「間違ってたとしても自分の感じるままに」と思い切りよく進みます。
今回も沢山のお客様にお越し戴き、ほぼ満席状態です。
ところが後半アダージョとアレグロ辺りからまたまた手の調子がおかしくなり始めます。(熊本日記5参照して頂けると幸いです。)
昨年よりはるかに状態がひどく、左手人差し指が曲がらなくなり反対側に反り返ります。ビブラート等ままなりません。苦渋の選択ですがブラームスの最初の数小節で演奏を止め、お客様にお詫びして5,10分インターパルを戴き控え室にて温水を流し指を温めたりピアニストの東さんに背中をさすっていただいたり懸命に治療を施します。

しかし簡単に治るものではなく、もう時間も経ってしまったので出来るところまでやってみて不可能なら心苦しいのですが払い戻ししてまたリベンジを、と考えます。
再度入場する際の楽器を持つ時から指が硬直しているのが分かりますが、決心したのでもう一度やり直します。
今までの演奏活動の中で最悪の状況でしたが、なんとか最後までたどり着くことが出来ました。

普段から極力脱力を意識して練習しているのですが(生徒さん達にもそう言っているのですが)、調べてみると力みとは関係ないようです。
アンコールももっと用意してましたが1曲だけで精一杯です。

聴きに来て頂いた皆さん本当に申し訳ございませんでした。次回は沢山ご用意いたしますね。

終了後にある方のアンケートに「アクシデントをものともせず…」とありその言葉に少し救われました。

優しいお客様に助けられいつもより感慨深いコンサートとなりました。

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