教室日記vol.12

暫く空いてしまいましたがvol.11の続きです。

シューマンのピアノ四重奏のメンバーは、ピアノが日本人でイギリスに留学中の女性、ヴァイオリンがシチリアから来たマリア、ヴィオラがアメリカ人のリサという女性3人と私。
レッスンではブレンゴラ先生の言葉を(イタリア語でレッスンです!)マリアが英語に訳してくれるので、かなり助かりました。
ある日、リハーサルを行うつもりが学校の都合で部屋が使えなかった為、マリアの借りているアパートを使わせてもらいました。彼女の友人がピアノクラスなのでなんとグランドピアノがあったのです。
マリアに冗談で(シチリア出身なので)「パパはゴッドファーザーなの?」と聞いたら半分怒り顔で「No!」と。(後日談で彼女のお父さんは警察のお偉いさんらしいと、エーッ!?失礼しました。)
練習に集中して疲れてきたので、ちょっとカフェにしようと窓を開けると向こうの空に虹が見えました。
「ラッキー!何か良い事あるかもね。」と言いながらエスプレッソを飲んだのを今でもはっきりと覚えてます。(良い事起こるかな)
その晩マリアがパスタを振る舞ってくれました。
それもカルボナーラです。
当時、日本でのカルボナーラはなんだか炒りすぎたスクランブルエッグの様なボソボソで、おまけにパスタも茹ですぎで口に入れるとむせてしまうような食べ物でしたが、彼女の「本場仕込みよ。」という作り方を教えてもらいながら食べたカルボナーラはなめらかで、黒胡椒とパルメザンチーズの効いた、そして何よりも違うのはパンツェッタという豚のほほ肉ベーコンの甘みのある脂が印象的でした。
リハーサルよりもそっちの方が為になりました(笑)
なので今でも我が家で作るカルボナーラの原点はマリアなのです。

もう一つのグループ、メンデルスゾーンの方は日本人5人、イタリア人2人、アメリカ人(ヴィオラのリサ)という編成で、この曲は8人の一糸乱れぬアンサンブルが必要で一人一人の個性はもちろん、状況判断や何をやらなければいけないか、をくみ取らなければなりません。特に1番ヴァイオリンがすご~く難しく(テクニック的にも音楽的にも)非常に高いレベルが求められます。
そんな大事なパートを受け持つのがイタリア人のマルコ。
彼は天才肌でヴァイオリンも器用に弾けちゃうし、音も艶やかでみんなから信頼されてました。彼も英語が上手なので皆をレッスン中もリハーサルでも引っ張ってくれました。(イタリア人ってたまに天才的な人がいるんだよな~。ダ・ヴィンチやストラディヴァリとか)なんて思っていると、もう一人のナポリ出身のドメニコもそうでした。
彼も明るい性格でいつもみんなと楽しい会話をしてました。で、ヴァイオリンも上手で難しい曲をなんなく弾ける天真爛漫タイプです。
ある日「メンオク(メンデルスゾーンのオクテットの略です。)難しいな~。弾けないとこ一杯あるな~。」って学校の部屋で個人練習していると、楽器ケースを背負った彼を見かけたので「チャオ、何処か行くの?練習終わった?」と聞くと彼は真顔でこう答えました。「トモキ、外はこんなに良い天気なんだよ。練習してたら勿体ないじゃない?」と。(オイオイ、イタリアは地中海性気候だろ~。地中海性気候の夏は毎日ピーカンの快晴だよね?夏は練習にならないってか?)と思わず心の中で突っ込んでしまいました。因みにイタリア語で日曜日をドメニカと言い、女性名詞ですが男性名詞に変化するとドメニコです。イタリアでも名は体を表すという諺が適用される様です。(?)
やはり天才です。
 

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