シン・熊本日記2

11/19いよいよシューベルト&ラフマニノフの演奏会の日です。
ピアニストはこのところご一緒してもらってる東さん。
今回は本当に無理言って超難曲を引き受けて頂きました。
ならば私も人前でやるのは苦手なアルペジオーネソナタで、という事に。

100人ほどの定員の教会(健軍教会、もう10回位お世話になっている場所です。)に90人位のお客様で超ビックリ!舞台(聖壇)から見る限り満員御礼状態ですよ。
そして当たり前ですが一番前にもびっしりお入りになっています。
1年ぶりのせいか、満員のせいか或いは曲目のせいか、めちゃくちゃ緊張しました…
アルペジオーネソナタ症候群。
そう言うしかない様な金縛り、いやいつもと違うなにかが起こってます。
震えや吊ったりではなく、心理現象というか暗示をかけられた様な不穏な感じで
これと戦わなければ。と自分に言い聞かせながら。
そしてなんと今日は偶然にもシューベルトの命日なんです。
嗚呼、シューベルトに怒られているのか。
そんな気もしてきました。
第一楽章はあくまで個人的見解ですがフィギュアスケートショートプログラムみたいな或いは茶道のお点前の様なカッチリしないといけない楽章で、私はそれが苦手なんです。
ようやく第二楽章あたりで緊張も解けシューベルトらしい美しくも淡々としたメロディに没頭でき、第三楽章に入り吟遊詩人を彷彿させる爽やかでありながら柔らかく時には激しく変化する音楽に励みます。
無事じゃなく終了。
休憩になり「あ~、やっぱりいつも通りにはいかないな~。」と感じながらラフマニノフで挽回を念じます。
後半戦。
もうあと一曲、といっても大曲で体力勝負を求められる場面もあります。
第一楽章物悲しい冒頭から始まり雪の中を馬車が疾走するシーンが目に浮かぶ旋律かと思うと
一転して暖かく沸き立つフレーズ等ラフマニノフならではの楽想。
第二楽章はスケルツォの要素を持ち合間に入る甘美なメロディに聴く人は心奪われます。(だと良いんですが)
第三楽章はザ・ラフマニノフと言っていいでしょう。いやそうなんです。
もうこれでもかっていう位ロマンティシズムにメランコリーにノスタルジックに全てを掛け合わせた曲想で確か坂東玉三郎さんがメガフォンを取った「外科室」という映画に流れその音楽が全てを物語る。そんな楽章です。
最後の第四楽章では寒い冬に耐え新しい生命の息吹を讃える輝かしいピアノのフレーズをチェロが受け継いで所々霧の中に迷い込んだ雰囲気の場面やアンサンブルの掛け合い等やはり大曲だと感じさせられます。
コーダに入る手前は人生を思い返す、懐かしい場所を思い出す、そんな気持ちになる所が好きで上手く伝えられたら…と。
最後はこの曲を締めるに相応しく華々しく終わります。
何とか持ちこたえました。
アンコールはコテコテですがヴォカリーズ。
これやらないと怒られますよね。
そして今回思いつきで初めて人前で弾くシューベルトの〈美しき水車小屋の娘から第二曲目の「どこへ?」。
思ってた以上に皆さん喜んで頂きました。
やはり歌曲は強い!

本当に皆さんありがとうございました。
東さん、感謝です。
これに懲りずにまだまだお付き合い下さいね。

いや~、疲れました。もう歳かな。

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